予告:「組織犯罪処罰法6条の2第1項の罪にかかる限定解釈の試み」

本年6月15日に公開した以下のエントリをブラッシュアップしたもの(タイトル:「組織犯罪処罰法6条の2第1項の罪にかかる限定解釈の試み」)が、法律時報2017年8月号(通巻1115号)に掲載されることとなりました(7月27日刊行予定)。 gk1024.hatenablog.com …

読書感想文:ダニエル・J・ソロブ『プライバシーなんていらない!?』(2017年、勁草書房)

組織犯罪処罰法改正関係の勉強で時間を取られ読みかけのままになっていたが、ようやっと以下の書籍を読み終えた。強く印象に残る部分が少なからずあったので、簡単に感想を記しておきたい。 以下、まとまりがほとんどないが、書評ではなく読書感想文だから、…

覚書:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律の成立を受けて

【注】本エントリを加筆修正したものが、法律時報2017年8月号に掲載されます。 I はじめに 本エントリは組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(組織犯罪処罰法改正法)の成立を受け、改正後の組織犯罪処罰法6条の2第…

テロ等準備罪成立要件の個別的検討

I はじめに このエントリは、テロ等準備罪の成立要件について、組織犯罪処罰法に関する従来の解釈も踏まえつつ、(なるべく逐条解説的に)個別に検討することを目指す。 この作業の狙いは、本罪のあり得る解釈を示すことにより、立法段階でなお議論すべき点を…

テロ等準備罪の「中止未遂」および予備・未遂・既遂との関係について

遅ればせながら、参議院法務委員会における本年6月1日の参考人質疑を拝見した。 本エントリはこれに触発され、(1)同罪を任意に中止した場合取扱い、および、(2)同罪と対象犯罪の予備・未遂・既遂との関係につき、私見を明らかにしようとするものである。 なお…

「国連特別報告者による書簡」に対する疑問と危惧

組織犯罪処罰法案への賛否*1と別に、国連特別報告者による書簡とその扱われ方について研究者として疑問と危惧を抱くため、以下、簡単に記しておく。 * * * 各種報道がなされたように、当該書簡は、国連特別報告者に任ぜられたJoseph Cannataci教授(マルタ…

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の衆議院通過を受けて

Ⅰ はじめに テロ等準備罪(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画罪)を創設する組織犯罪処罰法改正案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、193回国会閣法64号)が衆議…

覚書と補遺: 「共謀罪あるいは『テロ等組織犯罪準備罪』について」

拙稿「共謀罪あるいは『テロ等組織犯罪準備罪』について」が慶應法学37号151-171頁に掲載されました。現在のところ、紙媒体でのみ刊行されていますが、遠からず機関リポジトリにも収録される予定です。 koara.lib.keio.ac.jp 内容は論文本体をご覧頂くことと…

覚書:刑事立法学について(その1)

「その0」に記したように、以下の一連のエントリは、刑事立法学につき現時点で考えていることを、メモ書き程度に書き連ねてみようとするものです。 gk1024.hatenablog.com このエントリでは、「よりよき刑事立法はいかにして可能か」を明らかにするためには…

覚書:刑事立法学について(その0)

以前、ご縁があって、立法学に関する研究会で報告をする機会が2度ありました。いずれも、前任校で同僚であった(そして今でも呑み友達である)谷口功一先生にお声がけ頂いて飛んで火に参上したものです。 立法学は、私の理解では、「よりよき立法はいかにし…

「米国銃事情管見」予告と補遺

ご縁があって信州大学経法学部の紀要である信州大学経法論集の創刊号(2017年、近刊)に「米国銃事情管見」と題した小稿を掲載して頂きました。 私は、2016年4月より、米国において在外研究中です。本稿は、米国で生活する中で接した銃犯罪に関する報道を機…

覚書:「共謀罪、要件変え新設案 『テロ等準備罪』で提案検討」

朝日新聞デジタルが2016年8月26日(JST)に「共謀罪、要件変え新設案 『テロ等準備罪』で提案検討」との記事を掲載しました。 digital.asahi.com 共謀罪の動きに関しては産経新聞が本年3月に記事を掲載したことがあり、これについて、覚書として以下のエントリ…

『憲法学のゆくえ』に寄せて

宍戸常寿=曽我部真裕=山本龍彦『憲法学のゆくえ――諸法との対話で切り拓く新たな地平』がアマゾンに掲載されました。 憲法学のゆくえ 諸法との対話で切り拓く新たな地平 作者: 宍戸常寿,曽我部真裕,山本龍彦 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2016/09/2…

覚書:日本法の調べ物(随時更新)

日本法(特に刑事法)の調べ物に有用なサイトへのリンク集 ○条文(国の法令) ・法令データ提供システム|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ ・D1-Law.com 第一法規法情報総合データベース ・判例・法令検索・判例データベースのウエストロー・ジャパン ・日本法…

覚書:伊勢志摩サミット(2016年5月)

〇伊勢志摩サミットの概要 www.mofa.go.jp 〇サイバーに関するG7の原則と行動 ・英文(PDF)、仮訳(PDF) ――目指すべきサイバー空間像、サイバー空間における安全及び安定の促進、デジタル経済の促進に言及し、G7で一致してとるべき行動を確認 〇テロ及び暴力的…

覚書:アメリカ法の調べ物(随時更新)

アメリカ法に関する調査方法等について、覚書。随時更新。 ○立法の動向(連邦) ・Legislative Search Results | Congress.gov | Library of Congress たとえば、Email Privacy Actの審議状況についてはこちら。 ○議会調査局(Congressional Research Service)…

覚書:「政府、『新テロ対策』法案提出へ」(産経、2016年3月26日)

在外研究の関係でバタバタしていて見落としていたが、産経新聞が3月末に「政府、『新テロ対策』法案提出へ」と報じていた。 www.sankei.com 「客観的な準備行為を起こした時点で逮捕できるように」(犯罪として処罰しうるか否かと逮捕しうるか否かは別問題)、…

(謹告)拙稿「『共謀の射程』について」論文内リファーの訂正につきまして

訂正記事が続き恐縮です。 拙稿「『共謀の射程』について」法学会雑誌56巻1号(2015年)中、論文内のリファーが12頁ずつずれておりました。正しくは、以下の通りです。お詫びして訂正いたします。 注16 「後掲四一七頁」→「後掲四二九頁」 注44 「前掲四一七頁…

(謹告)拙著『ロースクール演習刑事訴訟法〔第2版〕』誤植訂正につきまして

ロースクール演習 刑事訴訟法 作者: 亀井源太郎 出版社/メーカー: 法学書院 発売日: 2014/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る このたび、拙著『ロースクール演習刑事訴訟法〔第2版〕』につき見直す機会があり、以下の通り、誤植を訂正し表記を…

立法か解釈か、あるいは、専門家の立ち位置――「憲法9条削除論を読んで考えた。 」補遺(その2)

井上達夫・9条削除論を契機として考えたことにつき、若干の補足(その2)です。 <a href="http://gk1024.hatenablog.com/entry/2015/08/26/201705" data-mce-href="http://gk1024.hatenablog.com/entry/2015/08/26/201…

刑法典と立法者意思――「憲法9条削除論を読んで考えた。 」補遺(その1)

昨日のエントリについて、Twitter上でご質問を頂きました。ご質問の趣旨は、法解釈における立法者意思の重み如何、ということであり、また、私がビールを呑みながらテレビを観ている間に、玉井克哉先生が丁寧に対応して下さいました(深謝)。 通常は、「特に…

越境メモ書き:憲法9条削除論を読んで考えた。

本エントリでは、井上達夫・憲法9条削除論を契機として考えたところをメモ書き的に記しておきます。 井上・9条削除論はくりかえし主張されており*1、私自身もいくつかの論稿に接しているところですが、直近の、かつ、ネット上で手軽に読めるものとしては、以…

解題:「『共謀の射程』について」

首都大学東京法学系の紀要である法学会雑誌の56巻1号(前田雅英教授退職記念号、川村栄一教授退職記念号)に、「『共謀の射程』について」と題する小稿を載せて頂きました。 「共謀の射程」という概念は、私の見るところ、最判平成6年12月6日刑集48巻8号509頁…

解題:「共謀共同正犯に関する覚書」

安廣文夫編著『裁判員裁判時代の刑事裁判』(2015年、成文堂)に、拙稿「共謀共同正犯に関する覚書」(433-448頁)が収録されました。 同書は、世話人の先生方によるあとがきにもあるように、安廣文夫先生古稀記念祝賀論文集としての性質を有するものですが、安…

歴史研究について

このエントリでは、法解釈論研究の一手法としての*1歴史研究について触れてみたいと思います。 解釈学者が行う歴史研究は、多くの場合、現代の・日本の解釈論上の問題を解決するために、過去の議論にその手がかりを求めようとする作業です。 私自身も、極め…

研究対象の変遷について(その2)

既にくりかえし記したように、私は、あれこれと浅く広く原稿を書いてきました。 前任校の環境も、このようなスタイルへと私を規定し、また、このようなスタイルを支えてくれました。 南大沢に所在する東京都立大学/首都大学東京の法学部/法学系は、もともと*…

研究対象の変遷について(その1)

先にも書きましたが、私は、あれこれと幅広い領域について、浅く広く原稿を書いてきました。同僚の山本龍彦先生から「境界の魔術師」*1との異名を頂きましたが、私の研究者としての個性を端的に言い当ててくださり、まことにありがたいことです*2。 &amp…

比較法研究について(その2)

先のエントリでは、私が比較法研究という手法を研究の中心に据えなかった理由/経緯を述べました。 <a href="http://gk1024.hatenablog.com/entry/2015/04/19/222423" data-mce…

比較法研究について(その1)

私自身は、比較法研究を熱心にしてきたとは、到底言えません。また、比較法という研究の手法については、長らく懐疑的でもありました。にもかかわらず、近年では、比較法研究の重要性を痛感することが少なくありません。 各方面からお叱りを頂戴しそうですが…

「ご専門は?」

研究者である以上当然ですが、「ご専門はなんですか?」と問われることがしばしばあります。 しかし、この問いは、私を戸惑わせるものです。 思えば、大学院以来約20年、とりわけ就職後の15年ほど、あれこれと幅広いテーマについて原稿を書いてきました。 ご…

前口上

このブログでは、刑事法学の研究および教育を巡って、私が考えていることを記すつもりです。私自身、研究者としても教育者としても発展途上ですが、40代も半ばを迎え、また、職業人としてのキャリアも15年になるため、一度、とりわけ方法論について考えてい…