2017-01-01から1年間の記事一覧

2017年の仕事を振り返る

あまり正月感のないコロンビア大学ロースクールも、12月30日から1月2日までは図書館閉鎖。このため、今日(12月29日)で一応の仕事納めです。 本年は、以下の業績が公刊されました。 ○浅田和茂=井田良編『新基本法コンメンタール・刑法〔第2版〕』(2017年9月、…

予告:「組織犯罪処罰法6条の2第1項の罪にかかる限定解釈の試み」

本年6月15日に公開した以下のエントリをブラッシュアップしたもの(タイトル:「組織犯罪処罰法6条の2第1項の罪にかかる限定解釈の試み」)が、法律時報2017年8月号(通巻1115号)に掲載されることとなりました(7月27日刊行予定)。 gk1024.hatenablog.com …

読書感想文:ダニエル・J・ソロブ『プライバシーなんていらない!?』(2017年、勁草書房)

組織犯罪処罰法改正関係の勉強で時間を取られ読みかけのままになっていたが、ようやっと以下の書籍を読み終えた。強く印象に残る部分が少なからずあったので、簡単に感想を記しておきたい。 以下、まとまりがほとんどないが、書評ではなく読書感想文だから、…

覚書:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律の成立を受けて

【注】本エントリに加筆修正を施したものが、法律時報89巻9号(2017年8月号)に掲載されております。 I はじめに 本エントリは組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(組織犯罪処罰法改正法)の成立を受け、改正後の組…

テロ等準備罪成立要件の個別的検討

I はじめに このエントリは、テロ等準備罪の成立要件について、組織犯罪処罰法に関する従来の解釈も踏まえつつ、(なるべく逐条解説的に)個別に検討することを目指す。 この作業の狙いは、本罪のあり得る解釈を示すことにより、立法段階でなお議論すべき点を…

テロ等準備罪の「中止未遂」および予備・未遂・既遂との関係について

遅ればせながら、参議院法務委員会における本年6月1日の参考人質疑を拝見した。 本エントリはこれに触発され、(1)同罪を任意に中止した場合取扱い、および、(2)同罪と対象犯罪の予備・未遂・既遂との関係につき、私見を明らかにしようとするものである。 なお…

「国連特別報告者による書簡」に対する疑問と危惧

組織犯罪処罰法案への賛否*1と別に、国連特別報告者による書簡とその扱われ方について研究者として疑問と危惧を抱くため、以下、簡単に記しておく。 * * * 各種報道がなされたように、当該書簡は、国連特別報告者に任ぜられたJoseph Cannataci教授(マルタ…

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の衆議院通過を受けて

Ⅰ はじめに テロ等準備罪(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画罪)を創設する組織犯罪処罰法改正案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、193回国会閣法64号)が衆議…

覚書と補遺: 「共謀罪あるいは『テロ等組織犯罪準備罪』について」

拙稿「共謀罪あるいは『テロ等組織犯罪準備罪』について」が慶應法学37号151-171頁に掲載されました。現在のところ、紙媒体でのみ刊行されていますが、遠からず機関リポジトリにも収録される予定です。【追記:以下に収録されました。】 koara.lib.keio.ac.j…

覚書:刑事立法学について(その1)

「その0」に記したように、以下の一連のエントリは、刑事立法学につき現時点で考えていることを、メモ書き程度に書き連ねてみようとするものです。 gk1024.hatenablog.com このエントリでは、「よりよき刑事立法はいかにして可能か」を明らかにするためには…

覚書:刑事立法学について(その0)

以前、ご縁があって、立法学に関する研究会で報告をする機会が2度ありました。いずれも、前任校で同僚であった(そして今でも呑み友達である)谷口功一先生にお声がけ頂いて飛んで火に参上したものです。 立法学は、私の理解では、「よりよき立法はいかにし…

「米国銃事情管見」予告と補遺

ご縁があって信州大学経法学部の紀要である信州大学経法論集の創刊号(2017年、近刊)に「米国銃事情管見」と題した小稿を掲載して頂きました。 私は、2016年4月より、米国において在外研究中です。本稿は、米国で生活する中で接した銃犯罪に関する報道を機…