予告:「組織犯罪処罰法6条の2第1項の罪にかかる限定解釈の試み」

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 本年6月15日に公開した以下のエントリをブラッシュアップしたもの(タイトル:「組織犯罪処罰法6条の2第1項の罪にかかる限定解釈の試み」)が、法律時報2017年8月号(通巻1115号)に掲載されることとなりました(7月27日刊行予定)。

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 本論文は逐条解説的*1に同罪の構成要件要素等について解釈論的な検討を試みたものですが、立法直後にこのようなものを立案担当者ではない者が公刊するというのは、やや異例なことではないかと思います。

 それでもなおこのような検討を行った理由は、十分に議論が深まったとは言えない状況下で改正法が施行されようとしていることから、本罪が不当に適用されることのないよう、同法6条の2第1項が用いる文言について限定的な解釈を用意しておくことが重要と考えたことにあります。

 また、立法の過程では、組織犯罪処罰法が(従来より)用いる諸概念の内実や関係が踏まえられていないように見える議論や解釈論の作法に則ってないように思われる議論も存しました。このことも、早い段階で議論を整理する必要があると考えた理由の一つです。

 このような試みは非常に地味なものではあります。しかし、法解釈学者としての「本芸」はこのような細かな解釈にこそあると信じて止みません。

 本稿の試みが十分に成功していると言えるかは、読者に委ねるよりほかありませんが、同罪に関する解釈論の集積に資するところがあれば幸いに思います。

*1:ただしくは、逐「語」解説的に、でしょうか。コンメンタールの一部を書くようなイメージであったため、本文では、敢えて「逐条解説的」としてあります。